H型架線集材システム

H型集材架線の特徴

 
H型集材架線とは
エンドレスタイラー等の2組の索張りとその索張りにセットされた双方の荷上索を1個のロージングブロックにドッキングさせた状態を上から見るとアルファベットの「H」の形になっていることから「H型架線」と称されている。
(右図:エンドレスタイラーダブル式H型架線イメージ図)

高知県におけるH型集材架線の索張方式

エンドレスタイラーダブル式(丸金式)

❏  丸金(まるきん)商店の友さんが考案した索張方式
❏  平3年考案実用化
❏  特徴
 当社も採用している、最も一般的な索張方式。
本型式は、エンドレスタイラー式の索張りを2セット架設し、両方のリフチング索をロージングブロックによって連結し、H型を構成したものである。
 この型式は、リフチングドラムの巻き容量の大きい大型集材機(直引力5t以上)を利用することにより、谷が深く線下高を十分に確保できる場所等では両索張りの索長を長く、かつ間隔も広く架設できるため、1セットでの集材面積を拡大できるメリットがある。
 一方、リフチング索の垂れ込みによる線下造林木の若干の損傷やロージングブロックを降下誘導するためにリフチング索の垂れ込み重量より重い重垂を必要とする等のデメリットがある。
 
3エンドレス3キャレッジ式(下元式) 

 
❏ 高知県檮原町の下元氏が考案した索張方式 
❏ 平4年考案実用化
❏ 特徴
 本型式は、エンドレスタイラーダブル式にさらにエンドレスタイラー式+ランニングスカイライン式的な索張りを組み合わせた複雑かつ高度な索張りであり、架設には、相当ハイレベルな技術力を要する。
 
ホイスチングダブル式H型(中平式)

 
❏ 高知林業の中平氏が開発した索張方式 
❏ 昭61年考案実用化
❏ 特徴
  本型式は、ホイスチングダブル式索張りを2セット架設し、ホイスチングキャレジ(搬器)に内蔵したエンドレスドラムの駆動軸とギアー接続されたリフチングドラムから繰り出す双方のリフチング索をスナッチブロックによって連結することにより、H型を構成した索張りである。
  集材機から搬器ドラムへの駆動伝達をエンドレス索によるので垂れ下がりがないため、架線下の造林木を損傷しないことと、荷掛けフックの降下誘導に重垂を必要としないなどのメリットがある。
 反面、搬器内蔵のリフチングドラムの巻き容量に限度があるため、谷が深く線下高が高い場合には、両索の間隔を制限される等のデメリットがある。
 
シングルエンドレスホイスト(ジャスト-2搬器)式

 
❏ 川崎機械製作所(現カワサキマシン)によって開発された索張方式 
❏ 平8年考案実用化
❏ 特徴
 本型式は、巻き上げ機能と無線による主索クランプ機能を内蔵した特殊搬器(ジャスト2)により、エンドレス索1本の駆動によって、エンドレス作業と巻き上げ作業を実行できる索張りである。基本的には、ホイスチングダブル式と同じ型式である。 
 
 

H型集材架線の長所と短所

長所

 ① 労働安全、労働強度の軽減化に効果的
  ❏ 線下作業、内角作業が回避できる
  ❏ かかり木を架線で処理できる
  ❏ 不安定場所での枝払い、造材、人力木寄せ、横取などのキケン、キツイ作業を軽減で
    きる
  ② 両主策で構成される範囲内の面的集材が可能
  ❏ 両主索間のほぼ全域が集材可能範囲となり、部分的な地形的制約を受けないため、単
    位面積当たりの集材量の増が可能
  ❏ 任意地点における全木(全幹)集材が可能(横取作業が不要)
  ❏ 任意地点に荷下ろしが可能なため、集造材土場を任意に設定できる
  ❏ 垂直方向での荷揚げ作業であり、横取作業が不要となるため
    ▸ 1サイクルタイムが短縮できる
    ▸ 1荷当たりの集材量を増加させることができる
    ▸ 定性間伐であっても残存立木の損傷がほとんどないため、夏場の事業量の安定確保が可能
    ▸ 線下等の架線支障木が少ない
  ❏ 間伐材、択伐材の付加価値化の向上(直材、長尺材など採材率の向上) 
 
➢ 短所

 ① 架設箇所が地形により限定される
 ② 大型集材機(4胴、直引力5t程度)が必要(3胴2機同時稼働で対応可能)
 ③ 線下高を確保するため、長スパン化と同時に2組の索張りを必要とするので、大規格、
   多量の資材と人員投入が必要
 ④ 架設に高度な技能が必要
 ⑤ 事業地の大ロット化が必要 
 

H型集材架線の架設上の留意点

❏ 主索
▸ 極力高く架設し、線下高を十分に確保すること
▸ 2本の主索は、極力平行かつ同等高線上に架設することが望ましい
 (実際は地形上困難な場合が多い)
 
❏ 集造材土場
▸ 主索直下を避けた箇所に設置すること
▸ 集材距離が最短となる箇所に設置すること
▸ 集造材土場における必要線下高は、両主索の間隔により一定ではないが、100~200m程度必要とする
 
❏ 集材機設置位置
▸ 可能な限り集材区域の全景や集造材土場が見える場所に設置すること
▸ 特にH型を構成しているリフチングラインが、ロージングブロックを支点として形成する仰角を確認できる場所が望ましい 
 
❏ 張替え
▸ 主索、作業索及び集材機は、事業地の状況により次線以降の張り替え等を考慮して配置すること
 

H型集材架線の架設手順

架設作業を効率的に実施するためには、作業現場の状況把握、架線施設の配置計画、必要な資材調達、作業手順、人員配置などを十分に検討し、手抜かりのないように段取りしておくことが重要である。

1.間伐対象地の概況調査

     遠望により架設ルートを検討
❏ 地形的な面からH型架線集材の可否の検討
▸ 所要の線下高が確保できるか
▸ 適合する索張形式等
 
❏ 間伐対象区域と間伐対象木の大きさ
▸ 一定の規模(材積)が確保できるか
▸ 平均樹高
▸ 一本当たりの材積と重量の推定
 
❏ 架設施設の配置
▸ スカイラインのルート
▸ 張替の要否
▸ 元柱、先柱のアンカー(利用可能な大木の有無)
▸ 集造材作業ポイント
▸ 集材機設置位置 
 

2.間伐作業システム図の作成

❏ 架線網計画の図上プランニング
▸ 森林基本図に間伐作業エリアや既設の林道、作業道その他人為的構造物等を挿入し、これらを加味しながら地形的要件を基本にして、最適ルートに架設計画線を挿入する。 この場合、一般的には谷を跨ぎ両サイドの尾根間に張り渡すことになる。
▸ 架線のスパンは、1,000m程度を基準とし、最長スパンは1,500m程度とする。
▸ 架線の間隔は、200~300m程度を基準とし、架線の地上高(架線下高)とその範囲、さらに後述の架線用土場における必要架線下高(概ね50~100m)などを考慮して架線の間隔を設定する。
 
❏ 架線用土場計画の図上プランニング
▸ 架線網計画に基づき、架線下高(概ね50~100m)を考慮しながら、土場スペース(幅10m以上、奥行き30m以上)が確保可能な緩やかな地形部を選定する。
▸ 集材木のプロセッサ造材により発生する相当量の枝条等を長期的に放置、或いは一時的に仮置き可能な安定した地山スペースの確保も考慮して選定する。
 
❏ 路網計画の図上プランニング
▸ 既設林道等から土場計画位置まで、トラック道(幅員3.5m程度縦断勾配12%以下)の開設が地形的に可能かを判断しながら、各土場間をトラックで連結する路網計画を挿入する。
▸ 次に、元柱や先柱付近など架線集材で対応しがたいエリアについては、車両系集材を計画し、フォワーダ道(幅員3.0m、縦断勾配16%以下)の路網計画を連続線形或いはトラック道からの支線線形により挿入する。 併せて、集材機の設置場所及び元柱或いは先柱位置への架設用進入路も計画する。
 

3.図上プランニングの現場検証

概況調査を踏まえた図上プランニングが現場において実行可能か現場を検証する。
 
❏ 元柱及び先柱位置
特に架線の元柱と先柱の位置の決定に当たっては、主索アンカーとして可能な大径立木の存在有無の確認が重要となる。 その際、架線下高についても十分に確保可能か確認する。
 
❏ 土場位置
ほぼ平坦な所要スペースが確保できるか、地形の勾配、地質の安定性などを重点において検証する。
 
❏ 作業路網
図上プランニングで作成した計画路線が開設可能か十分な踏査を行う。
これにより、開設困難と判断した際は、土場位置を再検討する。
 

4.架設作業(エンドレスタイラーダブル式H型の場合) 

 (1) 集材機の据付
 
 (2) リードロープの布設
   ラジコン飛行機又はドローンにより、バインダーロープを布設
 
 (3) バインダーロープからナイロンロープに張替
 
 (4) ナイロンロープからエンドレスライン(10~12mm)に張替
 
 (5) スカイラインの架設
  ① スカイラインをエンドレスラインで元柱と先柱間に引き渡す
  ② 先柱方向のスカイライン端部をアンカーに固定する
  ③ 元柱方向部にヒールブロックをセットする
  ④ リフチングラインで所定の緊張度まで張り上げ固定する
 
 (6) キャレージをスカイラインにセットし、エンドレスラインを結合
 
 (7) リフチングラインのセット
  ① ロージングブロックをリフチングラインにセットする
  ② リフチングラインをキャレージに組み込み、先柱方向に引き寄せる
  ③ 先柱付近のアンカー(立木等)に固定する
 
 (8) もう1セットを「(2)」~「(7)」の作業を繰り返し架設
 
 (9) リフチングラインのドッキング
  ① 一つのロージングブロック(ラジキャリー搭載の場合はラジキャリー)の両側に案内滑車を
    取り付ける
  ② 両方のリフチングラインをセット
 

ラジコン飛行機によるリードロープ布設

当社では、長距離架線のリードロープ布設作業をラジコン飛行機によって行っています。 従来の人力やロープ発射機による布設作業と比較して大幅な時間の短縮とコストダウンを実現しました。
「有限会社 今橋機工」様(高知市)に外注しています。
① 先柱から全景 水平飛行距離1,050m 高低差-100m

② 当日用意された機体は予備機を含め4機

③ リードロープはバインダー紐を使用(今回は1巻1,000mを2巻結束)

④ リードロープを機体に取り付け

⑤ 主翼を取り付け

⑥ エンジン始動

⑦ 発進直前-風をよみながら発進のタイミングをうかがう

⑧ 発進
  今回の飛行の様子を下の動画からご覧になれます

⑨ 着地目標地点へ向けて飛行中の機体-飛行時間は1,000mを1分ほど

⑩ リードロープ布設完了

⑪ 強制着陸後の機体

⑫ プロペラが破損しているが、エンジン本体が損傷することはほとんどない

ドローンによるリードロープ布設

集材用架線のリードロープ布設作業を従来のラジコン飛行機に加えて、700m程度までの架設作業ではドローンも導入しています。
「有限会社 今橋機工」様(高知市)に外注しています。

 
 
株式会社とされいほく
〒789-0313
高知県長岡郡大豊町川口
2042番地16
TEL.0887-72-1230
FAX.0887-72-0331

 
0
5
7
4
0
8